Macで外付けHDDを使う時のファイルシステムについて、まとめました。
Macで外付けHDDをフォーマット
Mac標準の「ディスクユーティリティ」アプリでフォーマットします。
Macの外付けHDDをフォーマットする時のファイルシステムには、いくつか種類があります。
使う目的によって、ファイルシステムを選ばないといけません。
- Macだけで使う場合は「MacOS拡張(ジャーナリング)」
- WindowsとMacの両方で使うなら「exFAT」
とりあえず、このどちらかでフォーマットしておけばOKです。
ちなみに、どちらのフォーマットでも、パーティション形式は「GUIDパーティションマップ」にします。
ファイルシステムの種類
Macのディスクフォーマットでは、次のファイルシステムが選択できます。
- Mac OS拡張(ジャーナリング)
- Mac OS拡張(大文字/小文字を区別、ジャーナリング)
- MS-DOS(FAT)
- exFAT
GUIDパーティションマップなら、使えるファイルシステムが増えます。
HDDデバイスのパーティション形式が「GUIDパーティションマップ」なら、使用できるファイルシステムの種類が増えます。
APFS、暗号化オプションは、パーティション方式がGUIDパーティションマップなら選択できます。
- APFS
- APFS(暗号化)
- APFS(大文字/小文字を区別)
- APFS(大文字/小文字を区別、暗号化)
- Mac OS拡張(ジャーナリング)
- Mac OS拡張(ジャーナリング、暗号化)
- Mac OS拡張(大文字/小文字を区別、ジャーナリング)
- Mac OS拡張(大文字/小文字を区別、ジャーナリング、暗号化)
- MS-DOS(FAT)
- exFAT
パーティション方式が「マスター・ブート・レコード」なら、APFSと暗号化オプションは使用できません。
パーティション方式については、後から説明します。
Mac OS拡張(ジャーナリング)、「HFS+」
アップルがMac用に開発したファイルシステムです。
「Mac OS拡張(ジャーナリング)」のファイルシステムは、一般的には「HFS+」(エイチ・エフ・エス・プラス、Hierarchical File System Plus)と呼ばれます。
HFS+
- Windowsでは書き込み不可、読み取りのみ可能。
- 1ファイルサイズの容量が最大800万TBまで。
- ボリューム(ドライブ)の容量は最大1600万TBまで。
- MacOSX10.3以降で使用可能。
MacOSXのバージョン10.3以降で使用可能なファイルシステムです。
MacOSX10.3は、2003年にリリースされたOSのバージョンです。
それより旧型のMacなんて、今では、まず見かけることがありません。
そのため、MacだけでHDDを使うなら「HFS+」を選択すれば全く問題ありません。
その他にも、HFS+のメリットとして、ファイル単位でアクセス権限を設定可能、 記録テーブル管理が効率的なのでデフラグが基本的に不要なことなどがあります。
しかし、「HFS+」は、Windowsでも読めますが、書き込みができません。
このWindowsとの互換性が弱いのが、「HFS+」の最大のデメリットです。
ちなみに、1600万TBテラバイトは、16EBエクサバイトとなります。
現在、PC用に市販されているHDDの容量はTBテラバイト表記が一般的ですが、EBエクサバイトは、100万TBテラバイトです。
Macだけで外付けHDDを使う場合は、HFS+・MacOS拡張(ジャーナリング)を使います。
ジャーナリングとは
障害でのファイル破損を防ぎます。
突然の電源切断などの障害から、ファイルシステムの破損を防ぐのが「ジャーナリングファイルシステム」です。
「HFS+」は、ジャーナリングファイルシステムのため、「Mac OS拡張(ジャーナリング)」と呼ばれます。
ジャーナリングファイルシステムではない「FAT32」などでは、障害が発生すると、ファイルの破損の危険性が高くなります。
「大文字/小文字を区別」は使わない。
特別な目的以外では、使いません。
大文字と小文字の区別は、対応していないアプリもあるので、使わない方が無難です。
「大文字/小文字を区別」では、ファイル名に使われているアルファベットの大文字と小文字を区別します。
しかし、アプリによっては、ファイル名の大文字と小文字を同一視している場合があります。
ファイル名の大文字と小文字を同一視している古いアプリなどでは、正常に動作しない場合があるので、やめておいた方が無難です。
どうしても「大文字/小文字を区別」を使いたい、何か特別な目的がある人に向けたファイルシステムです。
「暗号化」
セキュリティを高めたい時には、「暗号化」を選択します。
「暗号化」のファイルシステムで、HDDをフォーマットすると、パスワードでデータを保護できます。
PCにHDDを接続すると、パスワードの入力が求められます。
パスワード認証がないと、マウントできないので、HDDのデータを他人に読まれる心配がありません。
「暗号化」しておけば、万が一の紛失でも、個人情報を保護してくれます。
しかし、「暗号化」すると、TimeMachineでバックアップはできません。
TimeMachineでの、自動バックアップができないので、自分でバックアップを実行する必要があります。
Mac用のファイルシステムの歴史
Mac用のファイルシステムはMFS、HFS、HFS+と進化してきました。
- MFS(Macintosh File System)
- MacOS標準、HFS (Hierarchical File System)
- MacOS拡張(ジャーナリング)、HFS+
- APFS(Apple File System)
MS-DOS(FAT)、「FAT32」
1ファイルの容量が小さいので、実用的ではありません。
「MS-DOS(FAT)」は、Windowsでも、Macでも使用可能なファイルシステムです。
FATには種類がありますが、MacでFATを選択すると「FAT32」でフォーマットされます。
- WinとMacの両方で使え互換性が高い。
- 1ファイルの容量が最大4GBまで。
- ボリューム(ドライブ)の容量は最大2TBまで。
- Windows95やMS-DOSでは、使用できません。
- ファイルシステムの破損が発生しやすい。
FAT32の最大の弱点は、1ファイル4GBの容量制限です。
現在の長時間の動画ファイルだと、1ファイルが軽く4GBを上回ります。
その他にも、FAT32のデメリットには、ファイル単位のアクセス権限が設定できないことや、ファイルが断片化するのでデフラグが必要なことなど、色々あります。
旧式のWindowsパソコンとの互換性が必要なケースでは、このFAT32のファイルシステムを使います。
ただし、FAT32は、Windows95やMS-DOSでは使用できません。
FAT16
最大ディスク容量が4GBなので、今では使い物にならないファイルシステムです。
ちなみに、FAT32より前には、FAT16というファイルシステムもありました。
このFAT16なら、旧式のWindows95やWindowsNT、MS-DOSでも使用可能です。
- 旧式WinとMacの両方で使え互換性が非常に高い。
- 1ファイルサイズの容量が最大2GBまで。
- ボリューム(ドライブ)の容量は最大4GBまで。
- ディスク容量が非効率
もともとのFAT(File Allocation Table)は、あのビルゲイツさんが開発しました。
exFAT
MacとWindowsの共有HDDなら、この「exFAT」を使います。
「exFAT」(Extended FAT、イーエックスファット)とは、マイクロソフトがUSBメモリやSDカードなどの、外付けフラッシュメモリ向けに開発したファイルシステムです。
そのため、「exFAT」は、Windowsでも、内蔵ハードディスクには使用できずに、外付け専用のファイルシステムです。
もちろん、HDDでも「外付け」なら、WindowsとMacの両方で使用可能です。
- WindowsとMacの両方で使用可能
- 1ファイルサイズの容量が最大1600万TBまで。
- ボリューム(ドライブ)の容量は最大1600万TBまで。
- WindowsXP以降で使用可能。
exFATのファイルシステムは、WindowsXPより古いWindowsでは使用できませんが、今では、そんな旧式Windowsなんて見かけません。
Macでも、2010年にリリースされた、macOSX10.6.5以降なら使用可能です。
外付けHDDを、MacとWindowsの共有で使用するには、この「exFAT」ファイルシステムが最適です。
ただ、パソコン以外の携帯電話やAV機器などでは、「exFAT」は使用できない場合があります。
USBメモリもMacとWindowsで共有するなら「exFAT」を使います。
APFS(Apple File System)
Mac内蔵ドライブのファイルシステムは、このAPFSです。
「APFS」とは、アップルが開発して、2017年から導入されたファイルシステムです。
- Windowsでは読み書きできず使用不可。
- 1ファイルサイズの容量が最大800万TBまで。
- ボリューム(ドライブ)の容量は非公表。
- MacOSX10.13以降で使用可能。
- SSDやフラッシュメモリに最適化
APFSは、SSDやフラッシュメモリに最適化されたファイルシステムで、暗号化の強化や、コピーデータを効率よく管理して、ディスク容量を節約ができます。
ボリューム(ドライブ)の容量は非公表なので未知数ですが、1ファイルの最大容量が8EBなので、ボリューム容量はそれ以上なのは間違いなく、実用上の容量制限はありません。
ファイルシステムとしてAPFSを採用しているのは、MacのmacOSだけじゃありません。
アップル製品である、iPhoneやiPadの「iOS」、AppleTVの「tvOS」、アップルウォッチの「watchOS」のファイルシステムでも、APFSが採用されています。
Macの外付けHDDを、Windowsとも共有するなら、APFSのファイルシステムは使用できません。
さらに、Macだけの使用であっても、SSDならAPFSも候補になりますが、外付けHDDなら「MacOS拡張(ジャーナリング)」(HFS+)で実用上は全く問題ありません。
「MacOS拡張(ジャーナリング)」なら、Windowsでも読み取りだけは可能です。
外付けHDDのファイルシステムは、将来的に、WindowsでもAPFSの読み取りが可能になった時点で、APFSを使い始めればいいと思います。
Windowsが読み取りだけでも対応したら、APFSも使いやすくなります。
NTFS(NT File System)
Windows限定ユーザーなら、NTFSの一択です。
Macの「ディスクユーティリティ」では、NTFSにフォーマットできません。
- Macでは書き込み不可、読み取りのみ可能。
- 1ファイルサイズの容量が最大1600万TBまで。
- ボリューム(ドライブ)の容量は最大1600万TBまで。
- Windows95やMS-DOSでは、使用できません。
NTFSは、アカウント単位でのアクセス権が設定可能で、ネットワークでのマルチユーザー管理機能も備えています。
また、ジャーナリングファイルシステムなので、電源遮断などの障害でのファイル破損を防げます。
exFATより、NTFSの方が高機能です。
Macでは使えませんが、外付けHDDをWindows単体で使用するなら、「NTFS」が最強のファイルシステムです。
Windows2000以降の、WindowsXPやWindows7から、現在までのWindowsで使用が可能です
しかし、WindowsMe、Windows98、Windows95、MS-DOSなどの、旧式OSでは使用できません。
これらは、今ではほとんど使われていないので、互換性がなくても、普通の人にとっては全く問題ありません。
MacでもNTFSの読み取りは可能です。
パーティション方式の種類
パーティションとは、ディスクの中身を区切る「区画」のことです。
パーティションは、1つの区画だけでも使用可能です。
しかし、パーティションで、ディスクを複数の区画に分けると、複数のファイルシステムが使用できます。
このディスクを区画に分けるパーティションの方式には、3つの種類があります。
GUIDパーティションマップ
Mac標準のパーティション方式です。
Macの起動ディスクとして使われているパーティション方式が「GUIDパーティションマップ」です。
MacOSXのバージョン10.4以降なら、どのMacでも読み書きが可能なパーティション形式です。
GUIDパーティションマップでは、パーティション区画を最大128個まで作れます。
もちろん、Windowsでも「GUIDパーティションマップ」は使用できます。
また、マスター・ブート・レコードの場合は、2TBの容量制限があるので、2TBを超えるHDDの場合は、必然的にパーティション方式は「GUIDパーティションマップ」になります。
つまり、Macの外付けHDDなら、パーティション形式は、普通なら「GUIDパーティションマップ」を選択することになります。
APFS、暗号化は、GUIDパーティションマップ限定
パーティションがGUIDなら、APFSと暗号化フォーマットが使えます。
「APFS」は、パーティションを「GUIDパーティションマップ」に設定しないと使えません。
パーティション方式を「GUIDパーティションマップ」に変更すれば、フォーマットの中から、APFSを選べるようになります。
「暗号化」オプションは、パーティションを「GUIDパーティションマップ」に設定しないと使えません。
パーティション方式を「GUIDパーティションマップ」に変更すれば、フォーマットの中から、オプションで暗号化を選べるようになります。
マスター・ブート・レコード(MBR)
「マスター・ブート・レコード」のメリットは圧倒的な互換性です。
旧式のWindowsを起動するパーティション形式です。
「マスター・ブート・レコード」の歴史は古く、MS-DOS時代から使われています。
マスター・ブート・レコードでは、パーティション区画を最大4個まで作れます。
GUIDと比較すると、最大4個は少ないですが、普通なら実用上は4個で十分だと思います。
この「マスター・ブート・レコード」の最大の弱点は、HDDの容量が2TBまでしか認識できないことです。
2TBを超えるHDDの場合は、「GUIDパーティションマップ」を使うことになります。
そのため、現在ではWindowsも「GUIDパーティションマップ」で起動できます。
しかし、「マスター・ブート・レコード」なら、過去から現在までの、どんなバージョンのWindowsでも読み書きが可能です。
Windows以前のMS-DOSでも読み書き可能です。
そのため市販されている2TBまでのHDDのパーティションは、多くの場合でデフォルトでは「マスター・ブート・レコード」に設定されています。
もちろん、Macの起動ディスクにはできませんが、Macでも外付けHDDとしてなら読み書きは可能です。
また、パソコン以外の携帯電話やAV機器などは、パーティション形式が「マスター・ブート・レコード」だけしか使用できない機器もあります。
コンビニ印刷に使用するUSBメモリや、デジカメで使用するSDカードは、「マスター・ブート・レコード」のパーティション方式を使いましょう。
USBメモリーやSDカードは、マスター・ブート・レコード。
「Appleパーティションマップ」
Appleパーティションマップは、今では使いません。
旧式のMac(PowerPC)を起動するためのパーティション方式が、「Appleパーティションマップ」です。
2005年以前に発売された、PowerPCプロセッサ搭載のMacの起動ディスクでは、この「Apple パーティションマップ」が使われていました。
この時代のMacとの互換性が、どうしても必要なケースでは、「Apple パーティションマップ」に設定しましょう。
もちろん、過去から現在まで、どんなMacでも、読み書きが可能なパーティション形式ですが、現状では無視してもいいでしょう。
Appleパーティションマップは、特別な目的の人だけが使用して、普通の人は使いません。
まとめ、Macの外付けHDDのファイルシステム
Macの外付けHDDの、おすすめファイルシステムです。
- Macだけで使用するなら、フォーマットは「Mac OS拡張(ジャーナリング)」
- Windowsと共有するなら、フォーマットは「exFAT」
- パーティション方式は、「GUIDパーティションマップ」
ちなみに、USBメモリーやSDカードは、パーティションをMBRにしておきましょう。
- USBメモリー・SDカードの場合
- フォーマットは「exFAT」
- パーティション方式は、「マスター・ブート・レコード」
Macで外付けHDDを使う時のファイルシステムについての、まとめでした。